知能検査だけでは子どもの知的能力はわからない? お子様の発達を多面的に把握するために行っていること

 

子どもが日常生活を問題なく送っていくためには、知的能力だけが求められるわけではありません。知的能力は人間の能力の一部に過ぎないのです。そこで知能検査を行う際には、他の心理検査と組み合わせて、子どもの発達や心理状態をより多面的に理解することが求められます。

 

知能検査の限界:読み書き能力について知るために

まず、知能検査だけでは知的能力の限られた範囲の情報しか得られません。知能の定義は難しく、どの知能検査も知能の一部に焦点を当てざるを得ないのです。

 

ウェクスラー児童用知能検査(WISC)は、言語理解能力、視覚情報を理解する能力、短期記憶力、作業能力といった知能のいくつかの側面を測定しますが、学習の特性については把握できません。

 

そのため、読み書き能力を評価するために「特異的発達障害診断・治療のためのガイドライン」を併用が必要です。

知能検査の限界:情緒面・生活面での適応について知るために

さらに、心理状態や情緒面の評価、行動の特性の把握も欠かせません。

そのため、情緒面の評価を行う描画テスト(HTP)を用いたり、保護者による生活能力スキルの報告(S-M生活能力検査)も実施しています。

 

これらの異なる検査の結果を照合することで、一貫性のあるデータを得てレポートの信頼性を高めることができます。

複数の検査結果を総合的に分析することで、子どもが持つ強みや弱み、発達の特性が明確になり、学習支援や療育の計画が立てやすくなります。

 

 

質の高い支援の情報をご提供するために

ここまで述べてきたように、当施設ではWISCに他の検査を組み合わせることで、子どもの発達を多面的かつ包括的に理解し、支援の質を高める工夫を行っています。

 

知能検査の受検をお考えの方には、初回面接にお子様にもご同席いただき、遊びの場面や検査者とのやりとりの場面で行動を観察させていただいています。

またご希望により描画テストを受けていたき、情緒面の評価を行っています。

 

S-M生活能力検査、「特異的発達障害診断・治療のためのガイドライン」は、ご相談内容やご希望によ応じて、知能検査の実施日にご利用いただいています。

 

ここで挙げた知能検査以外の心理検査はすべて無料です。

 以上をご理解いただき、知能検査をご利用いただけますと幸いです。