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世界認知行動療法会議に参加してポスター発表しました

 

10回 世界認知行動療法会議(10th World Congress of Cognitive Behavior Therapies)に竹田が参加しました。この大会は世界認知行動療法連合(World Confederation of Cognitive Behavior Therapies)が主催する3年に1回の大会で、今回は本年(2023年)6月にソウルで開催されました。国際大会は参加費が高額で参加だけではもったいないと思い、ポスター発表に応募して幸いにもその機会をいただきました。

 

今大会の事前登録は2,400名を超え、そのうち日本からの登録は207名、また発表登録は日本からは145件で、どちらも韓国に次いで二番目だそうです。開催地ソウルが日本から近いことが第一の理由だと思いますが、日本で認知行動療法(以下CBT)を実践する方が多くいらっしゃるということでもあるでしょう。

 

 

大会初日。大勢の参加者で混雑する受付ブース。

事前にメールで送られたQRコードを読んでもらうのですが、なぜか私は受け取っていなくて。それでも無事に受付を済ませることができました。

本大会のテーマと大会の構成

今大会のテーマは「認知行動療法のグローバルな普及、アクセシビリティー、新技術」とのこと。CBTの対象を、従来の精神的・心理的な困難がある人々から拡大して、①予防的な介入も行っていくこと、②より多くの人がアクセスできる「デジタルCBT療法」の開発と普及、を目指していると理解しました。

 

大会プログラムは以下のような構成となっていました。

 

        Invited Address(招待講演)・・・大会のテーマに沿ったグローバルな視点からの提言。演者は世界的に著名な研究者(S.ヘイズ、D.クラーク、大野裕、坂野雄二、各先生ほか)。

        シンポジウム・・・CBTの普及についてITテクノロジー領域の専門家なども交えたさまざまな視点からの討論。

        Open Papers(公開論文)・・・傑出した若手臨床家による博士論文の発表。

        ワークショップ・・・CBTの比較的新しい知見・スキルが学べる講座。参加には事前申込が必要。

        ポスター発表・・・誰でも発表可。

 

この大会で個人に開かれた発表のチャンスは⑤しかありません。①~④は大会側が発表者を厳選し、テーマに沿った研究発表を多数含めたプログラムで構成することにより、前述のテーマを強く伝えたかったのではないかと感じました。同時にCBTが世界をリードしているという強い自負も伝わってきました。

 

ポスター会場の入り口。同じ会場の前方では、招待講演が同時に行われ、そちらを聞くこともできました。

どのように参加したか

私のポスター発表は、「ペアレント・トレーニング短縮版が養育行動におよぼす効果-PNPSを用いて-」と題したもので、私設相談室でのペアレント・トレーニングの実践を伝えました。

  

同じ会場では、井上雅彦先生(鳥取大学、日本ペアレント・トレーニング研究会理事)が発表していらっしゃり、少しお話させていただきました。また井上先生の下で研究をしていらっしゃる若手の方々とも親しくお話させていただいたのですが、この時間は心に残る暖かい大切な思い出となりました。また会場にいらした石川信一先生(同志社大学)にもご挨拶させていただきました。

 

楽しみにしていたワークショップは J. Russell Ramsay先生(ペンシルバニア大院)の「成人のADHDへの(認知)行動療法」に参加、そこでは中島美鈴先生(九州大学、成人のADHDの研究・実践)とお話する機会がありました。

 

ポスター会場の様子。左端の緑色のが私のポスターです。

さいごに

国際大会と聞くと英語のハードルが立ちはだかるかもしれませんが、ポスター発表ならポスターのそばに立って、見に来てくれた方に要約のコピーを渡すだけでも大丈夫です。国際大会に参加すると、日本ではなかなかお会いする機会がない有名な先生方とお話するチャンスがありますし、それが自尊心アップに繋がります。

 

今回は久しぶりの海外ひとり旅、忙しい日常を離れて大いに気分転換することができました。

 (竹田)

 

ポスター発表の証明書をいただきました

※この記事の背景画像は、大会の会場となったcoexモールの1階にある図書館です。