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うつ病のカウンセリングでは何をするのですか?

まずはうつ病について知り、早期に治療を始めましょう

 

日本では、15人に一人がうつ病にかかるそうです(下の資料1)。

ありふれた病気にもかかわらず、本人も周囲も「疲れがたまっているだけ」とか、「もう少しがんばれるのではないか」と考えて受診が遅れてしまうことは起きがちです。

 

精神科へ行ったものの初診で休職を勧められ、本人も周囲も納得できずに仕事を続けてしまって病気を悪くしてしまうケースもよく見かけます。

背景にはまだまだ世の中には精神科を受診することへの抵抗があるのかもしれません。

 

うつ病は治療可能な病気ですが、回復には数ヶ月から数年の時間が必要で、再発しやすい病気でもあります。ですから日頃からうつ病について知り、予防に努めることがとても重要だと思います。

 

うつ病で苦しむ方が少しでも少なくなるようにと願い、20201212日に無料オンラインセミナー「働く人のためのストレスマネジメント」実施しました。(コラム下にあるチラシもご参照ください)

その中でストレス対処の方法とともに、うつ病についても簡単に説明させていただきました。

 

ここから、うつ病の方に対するカウンセリングではどのようなことを行っていくのか、「解決志向ブリーフセラピー」と「認知行動療法」いう、二つのアプローチを例に挙げて、一般の方にもわかっていただけるよう、ごく簡単に説明していきます。

うつ病のカウンセリング ①解決志向ブリーフセラピー

 

「解決志向ブリーフセラピー(Solution Focused Brief Therapy, 略してSFBT)」のカウンセリングは、問題(困っていること)よりも、小さなことでよいので“うまく行っていること”に焦点を当て、なぜうまく行ったのかを考えます。

 

 “うまく行っていること”を見つけることで、相談者が本来、持っている強みを引き出し、さらにはその強みを使って日常生活における対処法を広げていくのです。

 

うつ病の方は、病気の特性からできていないことに注意が向きがちです。

“うまく行っていること”を見つける作業は、そのような物事のとらえかたに変化を起こす働きかけでもあります。

 

またうつ病の時は、活動が落ちてしまう状態にありますが、カウンセリングで日常生活においてどうなりたいかという具体的な小さな目標をみつけ、自身の強みを生かしながら少しずつ実践していくことで自信をとりもどすように進めていきます。

そして最終的には、カウンセラーがいなくても、相談者自身でセルフケアができるようになることを目指します。

 

問題の原因は考えず、将来に意識を向けていくことが解決志向ブリーフセラピーのユニークな特徴といえるでしょう。

 

解決志向ブリーフセラピーについて詳しくお知りになりたい方、学んでみたい方はぜひソリューションランドを訪れてみてください。どなたでもすぐに使える資料がたくさん用意されています。

 

 

うつ病のカウンセリング ②認知行動療法

 

「認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy, 略してCBT)」は、うつ病のカウンセリングのスタンダードといってよいでしょう。世界中で非常に多くの実践が重ねられて来ており、効果があるアプローチとして揺るぎない評価を得ています。

 

うつ病になると、病気の症状として、物事を悲観的・被害的にとらえる傾向が強くなり、そのようなとらえ方が病気をさらに悪くするという悪循環が起きてしまいます。

 

そこでCBTでは、うつ病に特徴的な考え方に気づき、考え方を修正する働きかけを行います。

同時に、「行動すること」が物事のとらえ方に影響を及ぼすことへの気づきもうながし、少しずつできることから行動することを実践していく働きかけも行っていきます。

 

CBTでは、まず出来事、考え、感情、行動を紙に書き出す作業からカウンセリングを始めるのですが、「書いて眺めることで自分を客観的に捉え直すことができ、おもしろい」とおっしゃる相談者が多いです。

 

書く作業で達成感を持っていただきやすく、さらにあとで紙を見て振り返ることもできるため、相談者がご自身でセルフケアすることが容易になります。

 

相談者とカウンセラーが協同作業しながらカウンセリングを進めていく点が、CBTの大きな魅力だと思います。

 

 

まとめ

 

“考え方”や“行動”に変化を起こそうとする働きかけを行うという点で、SFBTCBTはとてもよく似ています。

両者とも具体的な行動レベルでの変化を目指しているところも共通しています。

 

当施設では、ご相談者様のお悩みの内容や、ご相談者様にとって取り組みやすいと思われる方法を用いてカウンセリングを行っていきたいと考えています。

 

なお筆者(竹田)は日本と米国にて、それぞれのアプローチにおける第一人者が講師をつとめる研修を受けており、その後も勉強を続けながら実践に努めています。詳しくはプロフィールをご覧下さい。

(竹田)

 

 

資料:厚生労働省ホームページ「みんなのメンタルヘルス うつ病」

 

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html#:~:text=%E3%81%86%E3%81%A4%E7%97%85%E3%81%AE12%E3%82%AB%E6%9C%88,%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E3%81%AB%E6%AF%94%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%81%A8%E4%BD%8E%E3%81%84%E3%80%82

 

 

☆無料オンラインセミナー「働く人のためのストレスマネジメント」☆

2020年12月12日に実施しました。