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ADHDの子どもに薬を勧められたのですが・・・

 

ADHDの子どもの問題行動の改善には薬をつかう対応もあると聞きました。試してみたいと思いますが、不安もあります。どうしたらよいでしょうか?

まずは環境調整から

 

 発達障害の子どもの問題行動は、発達特性と環境の相互作用によって起きると考えてみましょう。子どもの特性と環境が合っていなかったり、子どもが新しい環境に慣れていなかったりすると問題行動が起きやすくなります。

 

 わかりやすい例で考えてみましょう。「視力が低い」という特性を持っている子どもには、前の席を与えることで、ある程度、見えづらさの問題は解消できますね。それでも眼鏡が必要なら使うこともあるでしょう。

 

 ADHD(注意欠如多動性障害)の傾向を持っている子どもが、保育園・幼稚園では目立った問題行動がなかったのに、小学校に入学後、落ち着きのなさや集中困難が現れてくることがあります。新しい環境では目を引く刺激がたくさんあるために衝動性が強まったり、長時間座って先生の話を聞く場面で集中力が途切れやすかったりするためかもしれません。

 

 まずは問題行動が起きにくいよう、環境を整えること(環境調整)から取り組みましょう。たとえば座席を前にして、教師が個別の指示を頻繁に与え、子どもの集中を途切らせないようにするという対応で学習に取り組みやすくなるかもしれません。

 

 多くの場合、落ち着きのなさや集中困難に学校が気づいて、学校が家庭に環境調整の提案をするという形で支援が進むと思いますが、家庭から学校にお願いすることもできます。どちらにせよ、学校が子どもの発達特性に合わせて個別な対応をすることを、「合理的配慮」といいます。合理的配慮を決めるプロセスでは、担任と保護者だけでなく、学校のスクールカウンセラーや特別支援コーデュネーターの先生にも関わってもらうと支援を進めやすいです。

 

 服薬を考える前に、まずは子どもにとって、負担が少ない対応(環境の調整=合理的配慮)を考えみましょう。その対応を行っても問題が十分に解決されず、子どもが学習に取り組みにくい状況が続いているのなら服薬を考える、というステップで進めましょう。

 

参考資料:

 

合理的配慮ハンドブック LITALICO

子どもが学校で合理的配慮を受けることについてわかりやすく説明されています。

LITALICOジュニアからダウンロードできます。